【将来への備え】年金を増やす方法について考える

目次

国民年金を増やす方法

【将来への備え】年金を増やす方法について考える

国民年金を増やす方法として、次の4つが考えられます。

①繰り下げ受給

国民年金の繰下げ受給とは、65歳から受給開始の老齢基礎年金を最長70歳まで繰り下げ、繰り下げた分の年金受給額を増やすことができる制度です。 昭和16年4月2日以後に生まれた人については、月単位で年金額の増額が行われることになり、その増額率は一生変わりません。 増税額率の計算式は以下のとおりです。

【増税率の計算式】
増税額率=(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数)×0.007

ひと月に0.7%なので、5年繰り下げると0.7%×12ヶ月×5年となり、月単位の年金額が42%も増やせます。
また、この繰下げ受給は厚生年金にも同様に用意されている制度です。

②前納

国民年金には、前納割引制度があります。2年度分を現金で前納すると年間14,590円(口座振替なら15,840円)、1年度分を現金で前納すると年間3,520円(口座振替なら4,160円)の割引となります。また、6ヶ月分を前納することもでき、その場合の割引額は現金なら810円(口座振替なら1,130円)になります。年率4%の複利計算をしているため、2年だと割引率が大きくなります。

③高齢任意加入

やむを得ない事情によって国民年金に加入していなかった期間がある場合には、国民年金は満額がもらえません。 国民年金の計算式を見ると、国民年金の計算式は分母が40年となっています。よって、年金の満額を目指すのであれば、分子の合計も40年分に近づける必要があります。 このような場合は、「任意加入制度」を活用することで、65歳からの国民年金を増やすことができます。 任意加入の主な条件には、「60歳以上65歳未満」「国民年金の繰上げ支給を受けていない」「厚生年金に加入していない」「20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が40年未満」などがあります。

④付加年金・国民年金基金

国民年金は、定額保険料に付加保険料を上乗せして納付すると、受給する年金額を増やすことができます。 保険料は毎月400円ですが、受け取れる年金は「200円×付加保険料納付月数」となります。 したがって、毎年掛金総額の半分を受け取れるということになります。 また、自営業者など国民年金の第一号被保険者の老後の所得を保障する国民年金基金制度もあります。国民年金だけにしか加入していない自営業者などが年金を増やすために利用する制度であり、本人の意思により任意加入します。

厚生年金を増やして多くもらう方法はある?

厚生年金を増やす方法としては、「長く働き、保険料を多く支払う」ことに尽きます。また、厚生年金の繰り下げ受給でも年金額は増やせます。

厚生年金に長く加入する

厚生年金の計算式を見ると、式の最後に加入月数を乗じています。よって、受給額を多くもらうためには、少しでも長く加入することが基本だといえるでしょう。 厚生年金の適用事業所で働き続け、長期間にわたって厚生年金保険料を納付することで、もらえる年金は増やすことができます。

給料をアップして保険料を多く払う

厚生年金の計算式を見れば分かりますが、平均標準報酬月額が基本となっています。 この計算の元となる給与や賞与の額が増えれば保険料も上がるので、必然的に年金受給額も増えていくでしょう。 在職期間中の給与の平均額がアップすることは、そのまま老後の生活レベルのアップにもつながります。

60歳以降も働く場合の注意点

年金を増やす最も確実な方法が、「働けるうちは働く」ということです。 しかし働きながら年金を受け取る場合、在職老齢年金と高年齢雇用継続給付に注意が必要です。 在職老齢年金とは、60歳以上65歳未満の方が厚生年金保険に加入しながら受け取る老齢厚生年金のことです。 注意すべき点は、在職中に老齢厚生年金が支給停止になる可能性があることです。短時間労働者は対象外ですが、そのほかの60歳以上の在職者は対象になることがあります。支給停止に関する細かな計算方法は以下です。 総報酬月額相当額(毎月の賃金と、賞与を12で割った額の合計)と老齢厚生年金の月額受給額に応じて年金額が調整され、それぞれの合計が60歳以上65歳未満は28万円以下、65歳以降は47万円以下の場合は支給停止になりません。 支給停止開始や、支給停止額の計算方法は細かい条件に分かれているので日本年金機構のウェブサイトでしっかり確認をする必要があります。 支給停止開始、全額支給停止など、基準となる額は変更されることがあるので気をつけましょう。 なお、国民年金は対象外であり、働き続けることによって受給額が減ることはありません。 また、定年前に勤務していた会社と同じ会社に再雇用され、60歳以降も勤務した場合、再雇用後の賃金が定年前と比較して大幅に下がってしまうことがあります。 そのような場合に、雇用保険から賃金の低下率に沿って賃金の0.44%〜15%が支給される制度を高年齢雇用継続給付といいます。高年齢雇用継続給付を受ける場合も厚生年金の支給停止開始対象となるので注意が必要です。

さらに将来のために積み立てるなら

国民年金や厚生年金そのものを増やす以外にも、老後の資産形成には方法があります。より安定した老後を実現するのであれば、ほかの制度を利用することも考えておきましょう。

iDeCo・個人年金保険

一定の要件がありますが、満20歳以上60歳未満が加入できる年金制度として、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」があります。(2022年5月以降は満20歳以上65歳未満が加入可能となります。) 掛金を自分で運用しながら積み立てることで、原則60歳以降に年金または一時金を受け取ることができる私的年金制度です。 iDeCoは、掛金の全額が控除対象となり、利息・配当・売却益などの運用益は全額非課税となります。さらに年金で受け取った場合には各種控除と、合計3つの税額控除が適用されるのが特長です。(掛金の上限額については国民年金の第一号被保険者は月額6.8万円、第三号被保険者は月額2.3万円、なお第二号被保険者は企業型DCの加入有無や確定給付型年金の加入有無により異なるのでご確認ください。) iDeCoの詳細や上限額等については下記を参照ください。
参照:「iDeCoの概要」(厚生労働省)

また、個人年金保険もiDeCo同様、私的年金ですが貯蓄型の保険商品です。 個々人の状況に合わせて「有期」「終身」などが設定でき、人生100年時代における「長生きした場合の経済的リスク」に備えることができる保険です。 支払った保険料については、一定の条件を満たすことで個人年金保険料控除を利用し、節税することができます。この控除の対象外であっても、一般の生命保険料控除の対象となります。 状況に合わせて年金の受け取り時期や期間を設定できることが、個人年金保険のメリットだといえるでしょう。

あなたは将来、年金をいくらもらえる?

【将来への備え】年金を増やす方法について考える

将来の年金額をシミュレーションすることは、ねんきん定期便やねんきんネットで可能です。 「ねんきん定期便」とは、毎年の誕生月になると送られてくる、直近一年間の年金情報が記載されたハガキのことです。 とくに35歳、45歳、59歳の場合は詳細版が封書で送られてくるので、全期間の年金記録情報を確認することができます。 「ねんきんネット」は、PCやスマートフォンから自分の年金記録を確認できるWeb上のサービスです。登録しておけば、将来の年金額をシミュレーションできるだけでなく、過去の年金記録の漏れなどを発見することができます。 前述の通り、厚生年金の計算方法はとて複雑なので、ねんきんネットでシミュレーションするのが一番わかりやすいでしょう。
出典:「ねんきんネット」(日本年金機構)

年金の種類を知ろう

ここでは、年金の基礎知識について紹介していきます。老後にもらえる年金は、国民年金と厚生年金の2種類があります。

国民年金

国民年金の加入者に対して老後の保障として給付されるのが、老齢基礎年金です。 老齢基礎年金は、保険料納付済期間(厚生年金の加入期間を含みます)と保険料免除期間などを合算した期間(資格期間)が10年以上ある場合、終身にわたって受け取ることができる年金です。 一般に国民年金と呼ばれ、支給開始年齢は原則として65歳以上であり、令和2年4月からの受給額の計算式は以下のとおりです。

【国民年金の計算式】
781,700円×[{保険料納付済月数+(全額免除月数×1/2)+一部免除期間月数に一定数乗じたもの※}÷(40年×12月)]

※一部免除期間とは、以下をかけて合計した月数のことです。(令和2年4月分から)
・4/3免除月数×7/8
・半額免除月数×6/8
・1/4免除月数×5/8

厚生年金


厚生年金に加入し、老齢基礎年金を受けるのに必要な資格期間を満たせば、65歳になったときに、老齢基礎年金に上乗せして支給されるのが老齢厚生年金
です。 ただし、昭和61年に年金制度が変わったことによる影響を緩和するために、60歳以上を対象に「特別支給の老齢厚生年金」が一定の要件のもと支給されます。
出典:「厚生年金支給開始年齢」(日本年金機構HP)

老齢厚生年金は一般に厚生年金と呼ばれ、計算方法は以下のとおりです。
(※昭和16年4月2日以降に生まれた方かつ、65歳未満の場合)

【厚生年金の計算方法】
老齢厚生年金額=定額部分+報酬比例部分+加給年金額

年金額は上記の3つの加算によって計算されます。それぞれの金額についての計算方法は以下の通りです。

・定額部分 1,630円×生年月日に応じた率×被保険者期間の月数

生年月日に応じた率は年金機構のウェブサイトで確認できます。
また、被保険者期間の月数は生年月日によって上限月が決まっており、そちらも上記年金機構のウェブサイトでの確認が必要です。

・報酬比例部分 平均標準報酬月額×生年月日に応じた率×平成15年3月までの被保険者期間の月数+ 平均標準報酬月額×生年月日に応じた率×平成15年4月以後の被保険者期間の月数

報酬比例部分にかける生年月日に応じた率については、2パターンあり、計算した際に金額が高くなる方が適用されます。 平均標準報酬月額とは、「被保険者期間の標準報酬月額の合計」を「被保険者期間の月数」で割った額です。標準報酬月額とは、健康保険料などの計算に使われる給与・賞与の平均額を標準報酬月額表に当てはめたものです。 簡単にいえば、平均標準報酬月額とは厚生年金保険料を支払っていた期間における平均的な月収です。

・加給年金額 加給年金額は特定の条件を満たしている方に配偶者や子がいるときに加算される金額です。

対象者によって額が異なり、さらに加算のためには届け出が必要なので注意してください。

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