養子縁組における「遺産相続」の疑問をすべて解決!

養子と実子で相続に差は無い

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遺産相続においては、「子ども」は第1順位の相続人です。さて、子どもとは「実子」と「養子」に分けられます。実子と養子は「実際に血がつながっているかどうか」で判断されますが、血縁のある子どもは実子と呼び、養子縁組をした子どもは養子と呼びます。血のつながりのある親族を自然血族といい、実施は自然血族です。もともと血族(けつぞく)とは血縁関係にある人のことを指しますが、自然血族だけでなく、養子縁組を行った場合も法律上の血族(法定血族)と呼びます。したがって、養子縁組によって法定血族となった養子は法律上、自然血族と同様の扱いを受けます。相続にあっても実子と養子の持つ権利は同じであり、養子も第1順位の相続人として相続権が発生します。

養子縁組をして相続する方法

養子縁組の制度は「普通養子縁組」と特別養子縁組」に分けられますが、どのように違うのでしょうか。制度の違いについて解説します。

①普通養子縁組

普通養子縁組とは、一般によく利用される養子縁組で、たとえば「婿養子に入る」、「孫養子にする」などのケースが考えられます。養親と養子の親子関係は生じますがその養子の実親との親子関係は消滅せず、そのまま継続することとなります。したがって、相続において、その養子は実親が死亡した場合も、養親が死亡した場合も法定相続人となります。

② 特別養子縁組

特別養子縁組とは、原則として6歳未満の者の福祉のためにある制度です。普通養子縁組と異なる点は、特別養子縁組が成立すると、その養子と実親との親子関係は消滅することです。特別養子縁組では、養親と養子の戸籍においても実親の名前は記載されず、養子の続柄も長男、長女などと記載されます。したがって、相続において、その養子は養親が死亡した場合は法定相続人となりますが、実親が死亡しても法定相続人とはなりません。特別養子縁組は、子どもの福祉の制度であるため、対象となる子どもは、「養子の監護が著しく困難又は不適当であることなどの事情がある場合」に限られています。養親になることを望む夫婦に対し、一定要件のもと成立する厳格な制度です。

養子縁組の相続におけるメリット・デメリットは?

養子縁組が成立するということは、養子縁組が生じた場合の相続の考え方を見ていきましょう。相続における養子の取り扱いは、民法における養子の考え方をふまえて、相続税法における特殊な養子のとらえ方をプラスして考えることになります。あくまで、ベースは民法であることに注意しましょう。養子縁組によって、相続税の節税につながることもあれば、それ以外の問題が発生することもあります。

メリット

養子縁組が相続にもたらすメリットについて考えていきましょう。まず、養子は相続人です。法定相続人とは民法で定められた相続人をいいますが、養子は法定相続人となります。法定相続人が何人いるか、これが相続税の節税につながります。つまり、法定相続人が増えて相続税を節税できることが、相続における養子縁組のメリットです。

・ 基礎控除額 3,000万円+600万円 ×(法定相続人の数)
・ 死亡保険金の非課税限度額 500万円 ×(法定相続人の数)
・ 死亡退職金の非課税限度額 500万円 ×(法定相続人の数)
・ 相続税の総額の計算
※一旦、法定相続人の数に応じて仮計算

上記のように法定相続人が多いほど差し引ける金額は500万円以上増え、相続税の総額を計算する際も低率を利用できる点で節税効果があります。ただし、後述する「養子の数」の算入制限により、養子縁組が必ずしも節税につながらないケースもあります。

デメリット

一方、養子縁組のデメリットは、相続人の数が増えるほど相続争いのリスクも増えることでしょう。被相続人の子どもがすべて養子である場合には問題がなくても、実子の知らないうちに被相続人が養子を迎えていた場合などには、遺産分割協議がまとまらないケースも考えられます。

養子縁組をして相続するときの注意点

先に、法定相続人が増えれば 相続税の節税効果があると解説しましたが、養子を増やせばよいわけではありません。養子縁組を利用した相続にあたっては、注意すべき事項がいくつかあります。

養子縁組における相続の注意点

相続税を計算する上で、相続税法においては普通養子と特別養子の考え方が異なっているので注意が必要です。相続税法では、法定相続人としてカウントできる普通養子の数が決められているのです。相続税の計算において、実子(特別養子を含む)がいる場合は、普通養子が何人いても「養子は1人」とカウントされます。また、実子がいない場合には、養子が3名以上いたとしても「養子は2人」とカウントされる決まりがあります。1988年の相続税法の改正で、節税のみを目的とした多数の相続養子に対して制限が加えられたためです。養子が増えれば、確かに節税効果はありますが、多ければよいという訳ではないことに注意しましょう。また、法定相続人の数以外においても養子縁組で注意すべき事例を見てみましょう。「孫養子」で自分の孫を普通養子として迎えることはよくあります。この場合、その孫は祖父母の養子であり、実親の実子となります。祖父が亡くなったとき、養子である孫は法定相続人となります。他の相続人と異なるのは、相続税額を計算する最終段階において、相続税額が2割増し(2割加算)される点です。孫養子の扱いは、図で説明します 。

① 祖父Aの相続において父Bが存命の場合

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② 祖父Aの相続において父Bが先に死亡している場合

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上の図で①の場合が一般の孫養子です。法定相続分はXやBと同じ1/3ですが、最後に相続税が2割増しとなります。ところが②の場合、子Cは養子としての相続人だけでなく、父Bの代襲相続人となります。代襲相続とは、相続人となるべき人が被相続人よりも前に死亡していた場合などに、その亡くなった人の子などが代わりに被相続人の相続をすることです。②の場合は、子Cは孫養子であり、父Bの代襲相続人となるので例外的に相続税の2割加算はありません。この孫養子の事例のような複雑な取り扱いは独学で調べるより、専門家に納得するまで説明を受ける方が安心でしょう。

まとめ

平成29年1月、最高裁判所は「節税目的の養子縁組というだけで、養子縁組そのものが無効になることはない」という判決を下しています。相続税の節税の目的と、養子縁組をする意思とは併存し得るものとしています。
相続税は所得税や消費税とは異なり、相続税は個々の家庭によってそれぞれの相続の形態があります。他にも贈与税と合わせていろいろな節税パターンがあるため、事前にシュミレーションして、最適な相続ができるように準備をしておかなくてはなりません。また、相続税は比較的大きな金額が動くため、詳細を詰めていない段階で家族に話をしてしまうと方向性を変更することが難しい場合もあります。そのため、まずはどのように相談をしてもらいたいのか、知識を蓄えて考える時間が必要です。住友生命では、専門家によるセミナーや個別相談を行っております。 家族のために何から始めたらよいのか、一緒に考えてみませんか?

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執筆者:長尾 茂

―プロフィール―――――――

相続診断士・1級FP技能士
住友生命保険相互会社
ウェルズ開発部 部長

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カテゴリー: 相続マネー