【幼児教育・前編】効果と子供のうちから学ぶ必要性の根拠とは

幼児教育とはどんなもの?

幼児教育とは、小学校に上がる前の未就学期に行う教育のことで、3歳~5歳の子供が該当する年齢とされています。 目的は家庭によって異なりますが、主に「自主性・自立性・主体性」を育てることが中心です。 保育園や幼稚園などでも、幼児教育という考え方は取り入れられており「子供が楽しみながら個性を伸ばす教育」が行われています。 早い家庭では1歳、2歳から始める場合もあります。大切なのは「子供が楽しめること」であり、遊びの中に幼児教育を取り入れているのが基本です。 幼児教育は、家庭の考え方や子供の性格などによってやり方が異なりますが、子供に合うものでなければ効果を発揮しません。 子供自身の興味を尊重することにより、本人のやる気を引き出します。能力を伸ばすことが目的であり、習い事や家庭での遊びなどを通して成長を促します。

幼児教育が必要とされる理由

幼児教育が必要とされる理由には、どのようなものがあるのでしょうか。 保護者によっては、「のびのびと育っていれば特別な教育は必要ない」と考える方もいるでしょう。 幼児教育とは学習や指導という意味だけではなく、子供一人ひとりの個性を引き出すものでもあります。 ここからは、幼児教育が必要とされる理由や、幼児教育を行うメリットについて見ていきましょう。

脳の形成は3歳で決まるから

「三つ子の魂百まで」という言葉があります。これは、3歳ごろまでに形成された性格は、100歳になっても変わらないという意味のことわざです。 人生全体で見た場合、幼児期の割合は約5~6%程度ですが、この時期に人格や脳の形成が決定するといわれています。 幼児期は「臨界期」とも呼ばれ、最も物事を吸収しやすい時期です。そのため、この時期に適切な幼児教育を行うことは、その後の人格形成に良い影響を与えるでしょう。 子供本人の記憶には残らないものの、幼児期に身についた習慣・知識・人とのかかわり方などが、貴重な経験として潜在意識に残ります。 学ぶことの楽しさや成功体験をこの時期に多く経験していれば、将来的な学習意欲向上などにもつながります。

子供の自尊心が高まるから

幼児教育を通して「成功体験」や「学ぶ楽しさ・喜び」を感じることで、自己肯定感の高い子供になります。 自己肯定感とは、自分は価値のある存在であるという「精神の基盤」です。 問題や壁にぶつかったときの粘り強さにも影響するため、自己肯定感が高いほど受験や就職の際に役立つといわれています。 幼児期に成功体験を得た経験から「自分はできる」という強い意志が備わっているので、難しい問題に対しても挫けることがなく、成功する自分の姿を明確にイメージすることができるでしょう。 この「精神の基盤」を構築するために重要になるのが幼児教育であり、幼児期こそ子供の自尊心を高めるのに最適な時期だといえます。

将来の年収に関係することがあるから

幼児教育を行うことによって、子供の持つさまざまな能力を開花させることができます。 幼児教育に関してはさまざまな研究が行われており、1960年代から約40年かけて追跡調査を行った「ペリー就学前計画」などは、その代表的な例のひとつです。 研究の結果、「就学前の幼児期に質の高い幼児教育を施した場合、月収や持ち家率、生活保護非受給率などが大きく向上する」ということがわかりました。 そのほか、学校中退率や犯罪率にも影響するとのデータも示されており、幼児教育の重要性を示す結果となりました。 日本でもこの研究結果は注目されており、将来的な経済成長や雇用の確保に向けて、幼児教育を重要視する動きが活発化しています。 2019年10月より導入された「幼児教育・保育の無償化」がその代表的な例です。 しかし、幼児教育の重要性・必要性がわかったところで、具体的にどのような方法で幼児教育を行えば良いのでしょうか。 次項では、幼児教育が子供に与える効果についての研究結果や、具体的にどのような方法が効果的であるかについて紹介します。

研究結果から見る、幼児教育が子供に与える効果

ペリー就学前計画以外にも、幼児教育に関するさまざまな研究が行われています。 多角的な研究により、幼児教育が子供に与える効果は幅広く、成績や将来的な収入などにも影響することがわかってきています。 ここからは、EPPE研究やハイスコープカリキュラムによって判明した効果について見ていきましょう。

EPPE研究

EPPE研究はイギリスで行われた研究で、幼児教育の質が高ければ家庭環境によって子供に肯定的な効果をもたらすと示されています。 研究結果によると、3~4歳時に家庭環境の質が低い傾向にある家庭の子供であっても、質の高い幼児教育を受けることで成績に良い影響が現れました。 国語・数学の成績を比較したとき、質の高い幼児教育を受けていた子供の方が高成績という結果となっています。 家庭環境があまり良くなく家庭や親を容易に変えられない場合でも、公教育が介入できる余地を示した結果となりました。 また、学力・成績を左右する「自己調整力」についての研究結果も見逃せません。自己調整力は、自分自身を自ら調整する力のことで、継続力や試行錯誤する能力を左右するものです。 自己調整力が低ければ、毎日の学習や苦手の克服などにも影響するため、学習意欲にも直結するでしょう。 この自己調整力は、高い幼児教育によって身につく傾向にあるという研究結果が示されており、将来的な成績を左右する根幹だと考えられます。

ハイスコープカリキュラム

ハイスコープカリキュラムは、ペリー就学前計画の研究を行っているハイスコープ教育研究財団が提唱した幼児教育カリキュラムです、 子供の人生の質的向上につながるとされ、全米の約10%、ミシガン州においては約30%の児童がこのカリキュラムを受けています。 財団では、幼児教育としてハイスコープカリキュラムを受けた子供を50歳になるまで長期研究しています。 研究結果では、以下のような点で幼児教育による効果が実証されました。
・教育(学力・学習意欲・中退率など)
・収入
・犯罪率
・雇用(生活保護非受給率)
・健康(医療へのアクセスが容易に) など
このような好転結果は、本人以外にも良い影響を与えるとされています。 たとえば、教育を受けた本人の子供や、犯罪率減少による地域環境、さらに収入や雇用の安定化による税収増などです。 このことから、幼児教育に注力することは、本人だけでなく地域や国全体にとっても良い効果をもたらすといえるでしょう。 ハイスコープカリキュラムの大きな特徴は、「アクティブラーニング」を軸にした教育を行う点にあります。 アクティブラーニングとは、直接体験を通した学習のことです。人や物、イベントやアイディアを実際に体験することで、生きた知識を身に付けていきます。 子供の発達レベルに合わせた教材(遊びの素材)を与え、実際に触れさせることで「何をしたいか」「何をしているのか」を言語化させます。大人はそれに対して援助を行います。 教科書などの紙面による2次元的な学習よりも、学びの本質である「自分で考察すること」が身につく学習方法だといえるでしょう。 このようにハイスコープカリキュラムの実証結果から、質の高い幼児教育を受けることの重要性を読み取ることができます。

幼児教育が子供の能力に与える効果

幼児教育が結果的に社会全体にとっても良い効果をもたらすと前述しましたが、肝心な子供自身の能力には具体的にどのような効果があるのでしょうか。 ここからは、幼児教育によって子供が得られる効果として「記憶力・想像力・基礎体力」の3つについて紹介します。 さらに、幼児教育による親への効果についても見ていきましょう。

記憶力

質の高い幼児教育は、記憶力の向上にも役立ちます。記憶力を育てる際に、幼児教育でよく使われている手法のひとつが「フラッシュカード」です。 フラッシュカードでは、絵や数字、文字などを1秒以内という短い時間で次々と見せていき、書かれているものの名前を読み上げていきます。 視覚と聴覚両方からの情報を瞬時に記憶することで、瞬発的により多くのことを記憶する能力を引き出すことが目的です。 フラッシュカードは右脳のトレーニングに効果的とされており、並行して読み書きなどで左脳のトレーニングも行うことが推奨されています。 左脳は言語系の記憶を行いますが、記憶容量が少ないため古い記憶は新しい記憶に上書きされがちです。 このとき、イメージ記憶を行う右脳と連動させて記憶することで、より多く記憶できるようになります。 幼児期からこの習慣が身についていれば、記憶力の向上につながり、将来的な学力にも差が現れてくるでしょう。

想像力

幼児教育では、情操教育や想像力を養うことも重要な要素のひとつです。 ピアノなら、多くの指を一度に動かす、歌うなど、同時にさまざまなことをこなす力が身につきます。 工作はゼロから作品を作るため、自分の中のイメージを具現化する力や、どのようにすればイメージ通りに作れるのかを想像する力が必要となります。 ピアノのメロディから物語の状況をイメージしたり、工作で完成図をイメージしたりするなど、想像力を養うことができるでしょう。 想像を膨らませることは、将来的に結果の予測や危機回避能力にも影響するため、幼児の段階から養うことはとても重要です。 また、想像力は「相手を思いやる力」としても必要になります。 「こうすると相手はどう思うだろう」という相手の考えを想像する習慣が身につくため、円滑な対人関係に役立つでしょう。 保育園や幼稚園などで集団生活を行うことは、人との関わり方や相手の気持ちを想像する力を身に付けることにもつながります。

基礎体力

幼児教育では、基礎体力を身に付けることもできます。スイミングや体操教室などは人気が高く、習い事に取り入れることで基礎体力向上や免疫力アップにもつながります。 また、幼児期の運動は体力向上だけでなく、心肺機能や骨格の成長にも効果的です。スポーツだけでなく、リトミックなどのリズムに合わせた動きを取り入れる方法もあります。 幼児期は、リズム感や反射神経、力の加減をコントロールする能力が飛躍的に伸び、運動の基礎が身につく時期です。 幼児期に基礎体力を身に付けておけば、就学後の応用的な運動への発展も容易になるでしょう。 さらに、反射神経が身につけば転倒時でもとっさに受け身を取りやすくなるので、ケガの防止にも役立ちます。 楽しみながら体を動かす習慣をつけることで基礎体力がつき、適度な疲労が睡眠の質を向上させ、健康的な体づくりにつながるでしょう。

親にも効果あり

幼児教育は、親にもさまざまな良い効果があります。 質の高い幼児教育を行うためには、子供と向き合う時間・取り組む姿勢が重要です。それを続けていくうちに、子供にとって必要なことや最適な時期が分かるようになります。 子供の興味があることや得意なことをいち早く察知できるので、適切に能力を伸ばすことができるようになるでしょう。 また、子供に対して強い関心を持って接するようになるため、夫婦間で教育方針を話し合うきっかけにもなります。 子供の成長を間近で実感できるため、褒める習慣がつくなど、子供と一緒に達成感を味わうこともできます。 「育児には正解がない」といわれるなか、幼児教育のカリキュラムを子供と一緒に取り組むことで親としての関わり方も明確になるでしょう。 不安や悩みを幼児教育の指導者に相談することで、楽しみながら子供の成長を見守る育児ができるようになります。

まとめ

幼児教育では得られる効果が多くある半面、子供に合わせて適切な教育を行わなければ、期待どおりの成長を促すことはできません。 苦手なことを無理にやらせるのではなく、子供と同じ目線に立ちながら、保護者も同じように考え工夫していく必要があります。 何よりも大切なのは、子供も保護者も一緒に楽しむことです。 「好きこそものの上手なれ」ということわざがあるように、楽しんで学ぶことができれば、自然に能力も向上していくのではないでしょうか。 後編では、効果的な幼児教育のタイミングについて具体的に紹介します。引き続きそちらもご覧ください。

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執筆者 尼崎 琢磨
(ライフプランニングセミナー担当)

―プロフィール――――――――――

相続診断士・2級FP技能士
住友生命保険相互会社
ウェルズ開発部 調査役

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カテゴリー: 教育