【生前贈与と相続】どちらが得?相続税がかかるなら生前贈与の検討を

贈与税と相続税の比較

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贈与税はもともとその先に相続税が発生することを前提にして、生前贈与による相続税逃れを防止するとともに、相続税を補完する働きがあるといわれます。 この相続税逃れを防止するという点から、贈与税は税率が高めに設定されています。相続税法には相続税と贈与税の2税目が規定されており、相続税法は生前の贈与と死後の相続のバランスの中にある税法といえるでしょう。

①贈与税の税額

個人から財産をもらったときは、贈与税の課税対象となります。 贈与税には、暦年課税と相続時精算課税の2つの制度があります。暦年課税は、暦年(1月~12月)の1年間に贈与を受けた財産の合計をもとにして、基礎控除額110万円を差し引いた残額に税率をあてはめて計算します。 暦年課税では、贈与があった年の1月1日において20歳以上の人が父母や祖父母などから受けた贈与を「特例贈与財産」、それ以外を「一般贈与財産」と分けており、特例贈与財産のほうが税額は低くなっています。 一方、相続時精算課税は、親子間などの贈与で一定の要件を満たす場合に適用できる制度で、2,500万円までの贈与について非課税枠があり、それを超えると20%が課税されます。

②相続税の税額

亡くなった人から相続などにより取得した財産の合計が基礎控除額を超えるときは、相続税の課税対象となります。 相続税の特徴は多くありますが、ここでは次の3つを挙げておきます。

みなし相続財産

生命保険金などは課税対象となりますが、一定額は非課税です。

基礎控除額

法定相続人の数によって基礎控除額が変わってくることも特徴です。 相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + 法定相続人の数 × 600万円

配偶者の税額軽減


配偶者については、1億6,000万円まで相続税がかかりません。 また、相続税の特例制度として一定の小規模宅地には大きな減額率が設けられていることも特徴的です。

生前贈与と相続どっちが得か

では、生前贈与と相続、どっちが節税になるのか、結局どっちが得なのかを解説します。 相続においては遺産総額が基礎控除額以下なら、相続税の選択が有利です。この場合には、相続税の申告も不要だからです。 しかし、だれにとっても必ず得だとは言い切れません。生前贈与をすることでメリットがある人もいます。後述する条件に該当する場合は、生前贈与と相続のどちらが得かという二者択一ではなく、贈与を併用した上で相続をする、という手段の検討をおすすめします。

生前贈与にメリットがある人とは

生前における贈与を考えた方がよい人とはどんな人でしょうか。 ある程度の資産のある方は、贈与と相続の組み合わせを検討する価値があると考えられます。

①高額な相続税が発生すると予想される人

相続税が高額になるのは、基礎控除額を上回る資産の相続が発生する場合です。 相続税の基礎控除額がたとえいくらあっても、億単位の財産を一括に引き継げば相続税額は多額になります。現行の相続税の最高税率は55%もあるので、相続が発生する前に遺産総額を減らし、相続税の負担を軽減する必要があります。 そこで、生前贈与が役に立ちます。贈与で将来の遺産総額を減らすことにより、相続税を軽減できるからです。

②生前贈与を併用した相続のシミュレーション

ここでシミュレーションをしてみましょう。

相続税の税率表.png

相続税において非課税枠を差し引いた課税の対象となる価格(課税価格)が1億円と1億1,000万円の場合を比べてみます。 課税価格が1億円なら、相続税額 2,300万円( =1億円×30% - 700万円 )です。 そして、1億1,000万円なら、相続税額 2,700万円( =1億1,000万円 × 40% - 1,700万円 )です。 1,000万円違うと、相続税額が400万円増えることとなります。 しかし、1億1,000万円のうち、1,000万円部分を生前贈与(暦年課税、特例贈与)にすると、贈与税額 210万円( =1,000万円×30%-90万円 )となります。 したがって、1億1,000万円に相続税の税率を適用すると相続税額2,700万円となったのに対して、1億円の相続と1,000万円の贈与とに分けると、贈与税と相続税の合計で、2,510万円になりました。 その差額は190万円です。やり方を変えるだけで大きな違いではないでしょうか。このような場合なら、贈与税と相続税を併用したほうが節税できます。

出典:「贈与税の計算と税率(暦年課税)」(国税庁)
出典:「相続税の税率」(国税庁)

ただし、1点注意が必要です。 贈与(暦年課税)は、「相続開始前3年以内の贈与財産」を相続税の計算に加算します。 もちろん、一旦支払った贈与税は控除して同一の財産への二重課税はありません。 したがって、上記のケースで節税となる贈与は、相続開始よりも3年より前の贈与でなければなりません。

③生前贈与と生命保険を組み合わせる理由

前述の相続税の特徴としてあげていた生命保険金を組み合わせることが、大きな節税効果を生みます。 みなし相続財産とは民法上では相続財産ではないのですが、相続税を計算するときに相続財産とみなされる財産のことです。生命保険金や死亡退職金などを指します。 このみなし相続財産には非課税限度額が設けられています。 非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数  したがって、法定相続人の数にもよりますが、財産の一部に生命保険金があった場合は節税ができます。 さらに、生命保険金は保険金受取人の固有財産であるため、相続放棄をした場合であっても受け取ることができるのです。ありがちな相続人同士の争いに疲れ、遺された家族のだれかが相続を放棄することがあっても、その人が保険金受取人だった場合は生命保険金を渡せるのもメリットの一つでしょう。

生前贈与の注意点

ここで生前贈与の注意点として、次の2点を挙げておきます。

贈与の事実を明確に残すこと

現金手渡しではなく銀行振り込みによる授受、口約束ではなく贈与契約書の作成によって、贈与の事実を客観的に証明できるようにしておくべきです。 そもそも贈与とは、贈与した人(贈与者)と贈与を受けた人(受贈者)が合意しているというルールがあるので、贈与契約書の存在は非常に大きいといえます。

実態をともなった贈与であること

未成年者の場合は仕方ないとしても、贈与が成立するためには、受贈者が受け取った財産を自由に使える状態にあることが必要です。 受贈者が預金通帳やカードが使えない口座へ振り込みしていると、実態をともなった贈与とはいえません。この場合は、税務署の調査が入ったときに贈与ではなく課税逃れと指摘されてしまうことがあります。預金利息が贈与者に振り込まれている場合や、受贈者が全くお金を使っていない場合も疑わしいとされます。 また、贈与を受ける人が未成年者の場合には、親権者の同意を得るなどの配慮も必要です。 贈与者と受贈者の通帳の届出印が同一であるなどは、贈与のためにお金を振り込んでいると見受けられず、配慮に欠けているといえます。 後になって受贈者が困らないようにしておくことまで考えてこそ、真の贈与といえるのかもしれません。

早めの対策が、相続をより豊かにできる

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相続税の税務調査において、過去の贈与の事実がわかることはよくあります。 贈与税の時効は、原則として6年です。 相続税の税務調査で発覚した時効前の贈与税は、贈与税本税とともに延滞税や加算税の対象となってしまいます。また、時効となっていても、遺産として相続税の計算に組み込まれてしまいます。 将来、お子さまが相続で困らないように、またお子さま同士が争わないように準備をしておくことが大切です。 まだ先の話と思っていても、その日は必ずいつかやってきますし、それ以前に健康を崩してあなたの意思が伝えられなくなることもあり得ます。 ぜひ、健康なうちから相続の準備をしておきましょう。 住友生命では、生前資産管理セミナーであなたの相続のお悩みを解決するお手伝いをしています。 ぜひ一度お問合せください。お待ちしています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。 最初に贈与税は相続税であると述べましたが、どのような相続になるのかは生前贈与をどうするかによって決まるといえます。 超高齢社会においては相続する時期はより遅くなり、経済社会から見れば好ましいことだとはいえません。 贈与による資産の移転を積極的に取り入れることが、節税だけではなく、子ども世代の活性化につながると考えられます。 次世代に「生きた」資産をつなぐためにも、贈与の活用をおすすめします。

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執筆者:長尾 茂

―プロフィール―――――――――

相続診断士・1級FP技能士
住友生命保険相互会社
ウェルズ開発部 部長

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カテゴリー: 相続マネー